*49 東京の桜

聖蹟桜ヶ丘(ISO400, f/5.6, 1/420)

長女が聖蹟桜ヶ丘に引っ越ししたので、家から歩いて10分ほどの桜ヶ丘公園に行ってみた。妻が生きていたころ、一緒によく散歩したところ。東京から見ると多摩川をはさんで対岸にあたる川崎市の多摩区に住んでいたので、車を走らせれば30分足らずでこの公園に来ることができた。桜ヶ丘というだけあって、桜の名所である。中高年のアマチュアカメラマンがごつくて重くて高そうな望遠付きの一眼レフを三脚に固定し、それを肩にかついで丘の斜面を上り下りする姿を何人も見かけた。あいにく東京の桜は開花こそ早かったが、そのあと寒の戻りがあって、桜は三分咲き程度。この枝の桜は開いていたほう。思い出は内からこみあげるものなのか、それとも外からやってくるものなのか。「理性」の主人公ポルキウス・ラトロは、思い出は贈り物なのだ、と言った。花もまたそうだろう。誰からの、と問うことはせずに。