春の雪がばさばさ降るなか、今日もなぜか海へと向かいました。でも、今日にかぎっては行きも帰りもその途上で、今まで味わったことのない感興に包まれ、何度も何度も車を停めました。そしてその度に、停車するタイミングが遅れた、もっと早く停めるべきだったと思うのですが、それは今日の雪が光を大地に封じ込めるようにして世界を覆い尽くしていたからだったのでしょう。低い山々も木々も、雪を溶かして黒々と輝く舗装路も、太陽の光を反射しているのではなく、自分の固有色を内部から発光させているような、独特の気配に包まれていたのです。だから写真に切り取ることができない。そんななかでかろうじて撮った道端の一枚です。