三が日が過ぎて最初の日曜日。なんとなく十勝川沿いの土手道を河口のほうへと車を走らせた。こんな土手道、すれ違う車もあるまいと思ったからだが、行きと帰りに同じ軽自動車と二回もすれ違った。帰りは、運転席のウィンドウを下げて合図までしてきた。こちらもすれ違いざまに停車して、ウィンドウを下げた。
——鳥狙い?(白鳥がワーワー騒いでいる)
——いや、とくにそんなわけでも。ただなんとなく風景を撮ってるだけですけど。
——朝は霧氷がきれいだよ。
——朝は家の仕事があるから、なかなか出られない。
——あ、そう。
——じゃ、失礼しますよ。
ウィンドウを下げて、車を出した。べつに嫌な感じの人ではなかったが(近くに住んでいる人だろう)、大切な孤独の時間が破られた感じがして、少し後味が悪かった。まぁ、そう感じるこちらが悪いのだろうが。