
今日も近場です(千代田堰堤)。午前中は仕事で原書の下読みをしていたので、午後からだとそんなに遠出ができなないということもありますが、先週モノクロの写真を掲載してみたものの、どうにも満足できなくて、再度チャレンジのつもりで同じ場所を訪れました。しかし、やっぱり白黒はむずかしい。橋の上から真下を覗きこむと、洲のようなものが川の流れに突き出していて、そこに雪が降り積もっている。紀伊半島の航空写真のように見えたらおなぐさみ、といった次第。

日曜の朝、空を見上げると曇天、今にも雪がちらつきそうな気配なので、さあて今日はどうしようかと思い悩んでいたのだが、ふと、こういう日こそ大津がいいのじゃないかと思い立ち、海へと車を走らせた。ジュエリー・アイスで賑わう大津の海岸も、大雪が降ったあとの曇りの日には人出がほとんどなく、宝石のように輝いているはずの氷塊も、ごらんのとおり浜辺に打ち寄せる波のせいで見る影もない。言うまでもなく、この写真は海を背にして撮った。海沿いに立ち並ぶこの家々のたたずまいがなんとなく好きでここにたびたび来るのである。撮影しているあいだに雪が繁く降り出して、早々に立ち去りました。

今朝は、太平洋に接する生花苗(おいかまない)の沼に行ってきました。じつは12月の初めにも行っているのですが、そのときはドローンを飛ばしている青年たちが湖畔を占拠(?)していたので、すごすごと帰ってきたのです。で、今日は誰もいなかった——年の瀬も押し迫ったこの時期、こんな薄ら寒く荒涼とした海岸の沼地を訪れる物好きは、たぶん十勝にはいない。大津の海岸はきっとアイスジュエリーの撮影で賑わっているのでしょうが、意地でも行かない。こんな凍てついた岸辺の写真ばかり数十枚ほど撮ったなかの一枚、いちばん寒々しいやつを、年忘れにどうぞ!

さあて、今日は久しぶりに海まで足をのばすかと、いつもの更別から豊頃方面へと抜ける道を南下しはじめたら、右手——つまり西の方——に日高山脈がきれいにくっきりと稜線を浮かび上がらせていて、思わずため息が出た。気温が下がって空気が乾燥してくると、遠くの山が近くに見えてくる。冬の晴れた日らしい景色だ。そこで急遽行き先を変更して、中札内から八千代方面に抜ける道を西走することにした。それでこの一枚。一昨日、初雪が降ったものの、ほとんどが風に飛ばされたり溶けたりして、畑には雪の跡さえ見えない。手前の山も同様だが、奥の日高から大雪につながる山脈にはたっぷり雪が積もり、おまけに白く冷たそうな雪雲までかかっている。大津の海へ行ったって、どうせジュエリーアイス目当てのおっさんカメラマンが、何十万もするどでかい望遠レンズをつけたカメラを振り回している姿に出会うのがオチなのだ。冬の海も氷もきれいだけど、おっさんの群れは見たくないので——自分のことは棚に上げて——、山に来て正解。

突如、ノスタルジーの波に襲われて難破したというわけではありません。まだ市内には初雪さえ降っていませんが、さすがに早朝の自転車散歩は体が冷えるので、暖かい格好をして文字どおりの散歩をすることにしました。すると同じ一時間でも、自転車と徒歩では移動できる距離が半分くらいになってしまう。そこで札内川縁に出たあとの帰り道はショートカットして小学校前の道をたどることにしたのです。はるか半世紀以上前に卒業した母校です。といっても校舎は二度建て替えられていて、昔の面影はほとんどなく、とりたてて懐かしい記憶もないのですが、生徒用の玄関の上に青い看板のようなものが取り付けられていて、見ると「開校60周年記念」と書かれている。でも、計算が合わない。私が入学したのとほぼ同時に開校したなんてことはありえない。帰ってから、ネット検索で調べてみると、開校は昭和29年となっている。ということは数年前に「開校60周年記念」を祝ったときの看板がそのままになっているというわけです。こんなことに目くじらを立てるつもりはなく、ああ、はるばると歩いてきたもんだという感慨のようなものがふわりと胸に浮かんできた。それだけのことです。