*200 遠くの山。

八千代牧場付近(ISO/400, 35mm, f/5.6, 1/1700, 20/12/20)

さあて、今日は久しぶりに海まで足をのばすかと、いつもの更別から豊頃方面へと抜ける道を南下しはじめたら、右手——つまり西の方——に日高山脈がきれいにくっきりと稜線を浮かび上がらせていて、思わずため息が出た。気温が下がって空気が乾燥してくると、遠くの山が近くに見えてくる。冬の晴れた日らしい景色だ。そこで急遽行き先を変更して、中札内から八千代方面に抜ける道を西走することにした。それでこの一枚。一昨日、初雪が降ったものの、ほとんどが風に飛ばされたり溶けたりして、畑には雪の跡さえ見えない。手前の山も同様だが、奥の日高から大雪につながる山脈にはたっぷり雪が積もり、おまけに白く冷たそうな雪雲までかかっている。大津の海へ行ったって、どうせジュエリーアイス目当てのおっさんカメラマンが、何十万もするどでかい望遠レンズをつけたカメラを振り回している姿に出会うのがオチなのだ。冬の海も氷もきれいだけど、おっさんの群れは見たくないので——自分のことは棚に上げて——、山に来て正解。

*199 タンチョウ、空を翔る。

札内川上空(ISO/200, 35mm, f/5.6, 1/1100, トリミング、12/12/20)

これも一昨日の朝に撮影した一枚。霜枯れの木立と薄曇りの空を翔るタンチョウとどちらにするか迷ったのですが、めでたいほうは正月に取っておこうと思って、霜枯れのほうを選びました。でも、今日になって、正月まではしばらく間があるし、そのあいだに何十枚も写真を撮るはずだから、そのころにはきっとこの写真のことは忘れてしまうだろう。そう思って、備忘録的な意味合いでアップしておきます。

*198 霜枯れ。

帯広川と札内川の間(ISO/400, 35mm, f/5.6, 1/480, 12/12/20)

帯広川と札内川が十勝川に流れ込むポイントの少し前に、小さな親水公園——車が入り込めるように道が舗装されていて、岸辺に階段が設けられている——があります。今朝の最低気温はマイナス七度、自転車はもちろん長い時間歩くのも億劫というか怖気付いて、車で十分か十五分程度のところにあるこの親水公園まで来てみました。今年は雪が遅いせいで、どんどん地表が凍ついていきます。これは霜枯れというより立ち枯れに近いような感じですが、春や夏ならカメラを向けないようなところが妙に際立つ、いつもと違う冬です。

*197 母校。

光南小学校前(ISO/400, 42.5mm, f/5.6, 1/1400, 06/12/20)

突如、ノスタルジーの波に襲われて難破したというわけではありません。まだ市内には初雪さえ降っていませんが、さすがに早朝の自転車散歩は体が冷えるので、暖かい格好をして文字どおりの散歩をすることにしました。すると同じ一時間でも、自転車と徒歩では移動できる距離が半分くらいになってしまう。そこで札内川縁に出たあとの帰り道はショートカットして小学校前の道をたどることにしたのです。はるか半世紀以上前に卒業した母校です。といっても校舎は二度建て替えられていて、昔の面影はほとんどなく、とりたてて懐かしい記憶もないのですが、生徒用の玄関の上に青い看板のようなものが取り付けられていて、見ると「開校60周年記念」と書かれている。でも、計算が合わない。私が入学したのとほぼ同時に開校したなんてことはありえない。帰ってから、ネット検索で調べてみると、開校は昭和29年となっている。ということは数年前に「開校60周年記念」を祝ったときの看板がそのままになっているというわけです。こんなことに目くじらを立てるつもりはなく、ああ、はるばると歩いてきたもんだという感慨のようなものがふわりと胸に浮かんできた。それだけのことです。

*196 朝日を浴びたナナカマド。

光南緑地公園(ISO/400, 55mm, f/5.6, 1/450, 29/11/20)

もう11月も終わり。今年は初夏からナナカマドの写真をずいぶんアップしましたが、冬になると、実の色もまるで寒風にさらされた子供のほっぺのように赤く輝いてはいるものの、よく見ると表皮は老人の頬のように皺々です。切なく感じるのは、こちらも老いたせいか……。

*195 朽葉、敷きつめて。

広野のあたり(ISO/400, 18mm, f/5, 1/125, 22/11/20)

この畑いちめんに敷きつめられたカラマツの朽葉の色を、なんと呼べばいいのか。さっきからずっと色名関連の本のページを繰っているのだが、どうにもぴたりと符合する色名が出てこない。山吹色でもないし、鬱金でもないし、琥珀でもないし……。そして、はたと思い当たる。この色は太陽の光を浴びて輝いているのではなく——空は初冬の曇り空だから——朽ち果てる直前の葉が内部から光を放っているのだと。それにしても、この畑いちめんの朽葉はあきらかに、自然にカラマツの防風林から落ちて広がったものではない。この畑地の所有者が黄金の針のような落ち葉をかき集めて、薄い絨毯のように敷きつめたとしか見えない。なんのために? 肥料? 雪が降るまで、畑の表土を霜から守るため? それとも酔狂? 黄金色の枯山水の庭に見立てた? まさか。

*194 ハマナス、初冬の輝き。

札内川土手(ISO/200, 35mm, f/5.6, 1/240, 16/11/20)

冬を迎えるハマナスの紅葉です。同じ紅葉でも、カエデとは違って、まるで春の新緑のような瑞々しさで、赤系の色——代赭、鉛丹、緋——がグラデーションをなして輝いている。昨日今日、立て続けのアップですが、こんな冬の日の、朝の一瞬も残しておきたいと思って。

*193 カラマツの丘。

豊頃町二宮(ISO/400, 35mm, 0.33ev, f/5.6, 1/850, 15/11/20)

紅葉の時期が過ぎると、カラマツが黄金色に染まっていきます。豊頃町の二宮のあたりに茂岩方面に抜ける小さなトンネルがあります。これはそのトンネルの横にひかえているカラマツの丘。何度も通った道ですが、この季節に通るのはたぶん初めて。お、こんなところに東山魁夷——色合いはかなり違いますが——、とか思って道端に車を停めて、パチリ。

*192 黄金の日没。

十勝川(ISO/400, 34.3mm, f/13, 1/1600, 08/11/20)

今日は、午前中は読まなければならない本を読み、午後から活動開始。どこへ行こうかと迷ったあげく、十勝川温泉に隣接するエコロジー・パークへ。車に積んだ自転車を降ろして、あちこち回っているうちにあっというまに日が暮れてきた。で、この写真。冬はもう間近です。

*191 秋の深まり。

札内川河川敷(ISO/400, 35mm, f/5.6, 1/800, 04/11/20)

これは朝の七時半くらいに撮った写真です。ごらんのように木立の影が長く、長く伸びています。夏のこの時刻だと、この長さの半分にも達しないはずです。中央の柏の木が真横からの朝日を受けて、気持ちよさそうでもあり、寒そうでもあります。

日曜日に東京から帰ってきました。新刊書(『言語の七番目の機能』)のプロモーションのためですが、著者のローラン・ビネと平野啓一郎の対談を傍聴というか、見守るというか、それだけのことです。ローラン・ビネとは四年前にパリで会って以来です。オンラインで再会の挨拶をしました。本の売れ行きは好調です。